toshikuroが見たもの聞いたもの買ったもの

商品レビューや備忘録。

【ネタバレ】Route End 堂々たる完結っ!最終話「始まりの終わり」についての考察

Route End という傑作をご存知でしょうか?

ご存じでない方は、ぜひ全巻購入の上、このネタばれブログはそっ閉じしていただければ幸いです。

ROUTE END 7 (ジャンプコミックス)

ROUTE END 7 (ジャンプコミックス)

 

 

 

 

 

 

 

=========================

ネタばれ注意

 

 

 

 

ネタばれ注意

=========================

 

 

1.完結に寄せて

 

さて、このブログでは、何度か Route End について考察や予想のレビューを書かせていただきました。

はじまりは、5月のこの記事でした。

toshikuro.hatenablog.com

 

ここに書いてある犯人予測は見事に大外れだったのですが笑、他に考察のサイトがあまり無かったためか、隔週土曜にこのブログへのアクセスも伸び、比較的多くの方に読んでもらうことができたようです。この場を借りてお礼申し上げます。

 

この傑作マンガが、ついに完結しました。

完結してしまいました。

率直に申し上げると、「これからどうしよう」というロスの気持ちが大きいです。

ただ、こういう唯一無二の作品を生み出してくれた、中川海二先生には感謝でいっぱいです。リアルタイムでJUMP+で読み続けた同志たちにもなんと言ったらいいか分からないけれど、感謝を伝えたいです。コメント欄を読むのも楽しかったです。

 

ここしばらくは、物語の謎というよりは、物語の強さに圧倒されていました。

殺人ではなく、自殺者の死体損壊だったと分かったときも、予想が当たった!とかより真人の悲しみに心打たれてしまいました。

 

ただ、この最終回は、なかなかに難解です

いくつかの謎は明かされたものの、大きな謎を残していった回だと思いますので、はなはだ無粋だとは思いますが、私なりの解釈を書いておきたいと思います。

 

 

 

2.明かされた謎

いくつか、明かされた謎を整理しておきたいと思います。この最終回の謎を考える前提にもなりますので。

まず、橘の謎が、橘の口から明らかにされました。

 

橘という存在の謎

橘の存在自体が謎でしたが、死ぬと裸で復活する男、ということでした。

死に方の如何を問わず、「50歳前半の少しガタが来ている体に」新しく生まれ変わるとのことでした。当然ながら記憶も引き継ぐようです。

その存在について、くしくも江崎が正確に語ります。

これがフィクションならあなたの存在は分かりやすい。差し込まれた超常的な要素は何かの象徴や暗喩だ

現実にそれがあったとすればそれは... まるで神のようだ

これに付け加えることは何もありません。

我々読者は、彼を何かの象徴や暗喩として受け取ることになりますが、あまりにリアルなこの物語における彼の必然性を考えるときには「神のような存在」としても受け入れざるを得ません。

 

彼がいつから蘇りを続けているのかは不明です。

これまで何度も何度も出会い

見送ってきた

と、語る彼の表情からは、相当の年数であるように見えます。それにもかかわらず、絶望や虚無に陥ってないように見え、自殺も一度しかしたことが無いと言いいます。それについて江崎は、

死が内包されているされている故に

あなたは心を失わずにいる

と分析します。これもまた難解なセリフです。

単純な不老不死ではなく、

  1. 老年の始まりからスタートして
  2. 死に向かって生きて
  3. 死んで
  4. 最初に戻る

というサイクルの中に死を内包していることが、

永遠の生にも関わらず、絶望せずに心を保つことができている理由になっているのだろうという分析かもしれません。

 

橘の行動の目的

橘の行動の目的は謎でした。

関わる人間に対して、どういう感情を持っているのか。

 

別れがある度に涙を流す

小田*1 も加藤もそうだ

 

愛するのは容易く

愛し方は難しい

 

加藤がゆっくりと再生する場所がアウンだ

太慈も柳女も

上手くいっていた 

 

橘は、関わる者たちを愛していました。

そして、傷ついた者たちには、再生の場所を与え、安定へ導いていました。

 

個人的には、荒んでいた太慈にかけた言葉*2等が嘘でなかったことに、心から安堵しました。

 

そして、彼の愛は常人の愛とはやや異なります。

そこにゲーム性がある

と言った時の橘の顔、見ましたか!!?

超怖いです笑

 

三つ子B&Cの指紋一致という橘の謎の真実に迫りかねない事実を、資料改ざんの結果であると偽装するために、菊田巡査長を強請り、自殺を装って殺してしまった*3 非情さを忘れることはできません。

彼にとって自分の正体を知られないことは非常に重要なようです。

第25話で自分の生存を明かしてまで柳女を救いつつ、太慈を含め口外すれば

お前を殺さないといけなくなる

と言っていたのも恐らく本気でしょう(顔がマジだったし...…怖い……)

 

なぜENDを騙った?という大きな謎の答えも、

真人を救うためだった、ということになろうと思います。

 

それは、橘の考える救いではありますが、
太慈の弟であり、
子どもの頃に起こした無差別殺人について、自らが被害者となったという奇縁ある存在である真人に向けた、彼なりの思いだったようです。

三度殺され、加藤を殺され(そう誤信させられていた)、拷問されても、獄中ではなく、日常の生活の中で安定に向かうことができるように導くつもりだったようです*4

 

橘の誤算

真人を救うために偽ENDとなった橘ですが、そこでの誤算について、橘が語ります。

誤算は

女刑事の怪力と

君(江崎)の役割に気付いていなかった事だ 

 と、あります。

女刑事の怪力とは、太慈と真人を襲った時に五十嵐にDNAを取られたことをきっかけに、警察に橘Bや白骨死体とが同一DNAだと知られたことでしょう。(その後、Cとして殺されて死体が警察にわたったことで、Bと指紋が同じと分かってしまったことはより大きなピンチだったでしょうが。)

江崎の役割に気づかなかったというのは、江崎が患者を自殺に導き、真人が死体損壊するという事件の真相にずっと気付くことができなかった*5ことです。

 

 

3.最終話の謎

江崎はどうなったのか

最終話の謎は、結局、橘は江崎をどうしたのか だと思います。

殺したと考えるのが自然でしょう。

終わらせるにはそれが一番良い。

 

警察は、江崎が死んだという前提で動いています。

その根拠は、致死量の血痕が発見されたことと、血液は江崎のものと断定されたことです。カウンセリングの予約と署名付き怪文書により、犯人は川上という異常者ということになっています。

ただ、もちろん、これは偽装の可能性があります。

血液については、輸液を行うことで、致死量を抜いても生きることが可能です。死体の一部すら見つかっていない状況では、むしろ江崎の生存を示しているように見えます。

ただ、江崎が生きているとして、生きて橘と何をしているのでしょうか。

それが問題です。

 

江崎という男

江崎は良く分からない男です。彼の謎は、橘より多く残されたと言え、想像で補うしかないところがあります。

ともあれ、彼は、患者を死に追いやった方法論を開陳します。

 

どんな価値観も重さは自由自在に変化する

普通ため込んでいる悩みは他人に話すと それだけで軽くなる

それを逆に重くなるように会話を進める

悩みをひとりの個として受け止めるのではなく

共感して肯定して

溶け合う

倍になる

悩みの価値は増す

重くなる

彼らは共感に安心感を得ながら

しかし悩みは重くなっていく

独自の価値が重みを増すほど

世界とのズレによる孤立感も深くなる

私に依存していく

私だけに

そして最後に彼らは悟る

私が彼らにとって無力だと

 

悪魔のカウンセリング、恐怖のレシピですね。 

絶望の中で助けを求めて縋ったプロが、悪意とテクニックでもって操ってきたら我々になすすべはあるのでしょうか。

続けて、江崎はこう言います。

 

本当に神なら

私はあなたと

溶け合うよりも対となれるだろう

 

読者の皆様は当然 あの謎の第30話「健やかなる」を思い出したでしょう。

精神科医 阿久津が、かつて幸福に健やかに育てられた過去を持つ異常殺人犯を探し、見つけられたなかったと語るシーンです。

 

江崎:なぜそんなことを調べたんです?

阿久津:純粋な悪がいたら面白いじゃないですか

    健やかなる悪がいたら

江崎:いたら奇跡でしょう

   唯一神の真逆

   対となる悪魔だ

 

彼は、対となる神を求めていた、そのような関係に憧れていたように思います。

勝手に神社を作って、神主を名乗っていたのも、今から考えれば対となる神を自ら形にしていたのかもしれません。

御神体は、長く伸ばした自分の髪の毛*6。生と再生の象徴です。 

 

連理という名前も、対を意識したものです*7

メタ的には、著者のメッセージでしょうし、江崎が自身で名乗った変名の可能性や、名付けた親の思いが成育歴の中で彼に影響を与えた可能性もあります。

 

 

私の結論

私としては、彼らはこの物語からは消え、どこかでお互いに向き合うことにしたのではないかと思っています。

江崎は、心を失わずにいる橘を絶望に引き込むために、悪魔のカウンセリングを行います。 それは偉大な神への悪魔の挑戦であり、彼が望んだ相克でしょう。これは、江崎の言動から、ある程度理解可能ではないでしょうか。

 

一方で、橘は、江崎を救おうと試みるのではないでしょうか。

橘は、善悪について独自の基準を持っており、加藤を殺したと言い自分を拷問する真人を救おうとしていました*8。多くの者を死に導いたことを、橘が倫理感から咎めるとは思えません。むしろ江崎の動機に興味を寄せています。

 橘が江崎に対して、君の人生は?と問うた時、それは動機を問うていたと思います。

これに対して、江崎は。

私に人生など在りはしない 

と断言します。結局、江崎の 動機 は語られませんでした。動機はない、という答えなのかもしれません。江崎が、健やかに育った、健やかな悪なのか。一切、分かりません。

ただ、橘はこれに

素晴らしい

と応じました。 

橘は、人を愛し、救うことに ゲーム性 を見出していました。

江崎は、強敵です*9。ゲームとしてはこれ以上ない課題と言えるでしょう。

 

方法は分かりません。ただ、ゲームルールを合意によって形成し、どこかの町で奇妙な戦いを行い続ける二人の姿が浮かびます。

物語の本筋からは離れたものですし、後味の悪さはあるかもしれませんが、

そんな終わり方も、悪くないと私は思います。

 

メタフィクション的エンディング説

JUMP+ のコメント欄では、メタフィクション的なエンディングだと受け取る人が多かったように思います。

橘と江崎は、自分がフィクションの登場人物であることに気づいている

というものです。面白いと思いました。

奇手ではありますが、手法としては十分あり得るものですし、超常的な存在である橘をうまく織り込んで収束させられるとも思います。

作中で江崎が

この物語の中でなら

と述べ、橘がそれにハッと何か気付くようなリアクションをしている点は、それを示唆しているようにも見えます。

 

ただ、その前に、江崎が 

だがこれは現実だ

と断言していることを乗り越えられないように思われるため、個人的には与しません。

この断言は、メタフィクションの明確な否定だと感じています。

また、メタフィクションだったとして、橘や江崎がフィクションの外に働きかけるようなメタ的な言動*10をしていない以上、橘や江崎がフィクションの住人だと気付いていたとして「そうだとして、だから何?」ということにならざるを得ない気がします。

 

ちなみに、江崎が「この物語の中でなら」との言った意味は、私には分かりません。

この物語の中でなら、対となることができる という意味なのか

この物語の中でなら、対となることはできないだろうが、別の物語でならできる という意味なのかすら分からない。

前者の場合、これまで続いてきたEND事件というドラマ・物語の流れも含め、その延長線上であればあれば、江崎が橘の対のような存在となることが可能になるということだろうし、

後者の場合、END事件や江崎のこれまでの生活といった「この物語」は終わらせて、また別の町で別の物語を始めれば、あるいは可能になるかもしれないということでしょう。

直後に、橘が江崎の人生を問うたことから、個人的には後者なのではないかなと思っています。

 

4.分からないのが面白い

いろいろ勝手に妄想しました。

ただ、これは映画『インセプション』の最後のシーンで回り続ける独楽のようなもので、江崎が死んだのか、どこかで生きているのか、結局分からないところに面白みがあるように思います。

第8巻には後日談が挿入されるとのことですが、その中でも、江崎の生存がにおわされつつ、明確な描写は無いのではないかと想像します。(もちろん、明らかにされるのも大歓迎)

今はただ、太慈、五十嵐やその周りの人たちに救いのある日常が訪れていることを祈っています!!

 

江崎と真人の物語、そして橘の物語、描かれていない物語はたくさんあって、それを全部読みたい気持ちはあるけれども、中川先生の次回作を読みたいという気持ちも同じくらいあります。

次回作、今から本当に楽しみですね。どんな作品と出会っていくことになるのか。今から恐ろしいような気持ちです。笑

 

感想めいたことを長々と書きましたが、お付き合いいただき、ありがとうございました!!

 

それでは~~。

*1:小田は、4人目の被害者の小田慎太郎さんです。第46話で、橘(アウン社長時代)を神と呼び、白骨死体(真人に殺された橘A)を取り上げられることに取り乱した姿が表れています。小田の死により、橘はENDの存在に気づきます。

*2:第3話の回想参照

*3:第27話、第28話参照

*4:第49話

*5:第49話で、三つ子Cとして真人に拷問されている時にもまだ気づいていないことが明かされています

*6:第17話

*7:比翼の鳥、連理の枝という有名な一節に因むものと思います

*8:第49話

*9:そういえば、最終話一つ前のJUMP+のコメント欄にラスボス対ラスボスというのがあって、上手いこと言うなあと感心しました

*10:読者に語りかけたり、「ページをめくる」といったフィクションを前提とした発言をすることを想定しています

【ネタバレ】ROUTE END 第41話 から垣間見えたもの

またまた、ROUTE END (ルート エンド) の更新のある金曜の夜中、いや土曜の夜中がやってまいりました。火曜くらいからソワソワしますね。「今週、更新あるよな」みたいに。全国民の48%くらいが楽しみにしているんじゃないですかね。(たぶん。そうだったらいいなぁ。)

 

 

ROUTE END 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ROUTE END 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

ネタバレすごいので、まだ読んでない人は読まないでネ。

ホントに、ネタバレだけ読むと人生損しますよ。最初から漫画を読んでから、気が向いたら読みにきてください。

と、いうか、もうまとめ買いしましょう!後悔はしない!ぜったいに!!

 

 

 

 

 

 

 

 

======================

ネタバレ

注意

ネタバレ

注意

======================

 

 

 

 さて、読んでいない人は、帰ったはずなので、始めます。

 

 

 

 

 

38話~40話はつらかった...

さて、第38話~第40話は、加害者の家族となることや、春野家の苦しい過去が描写されてきました。この、胸をかきむしりたくなるような苦しさこそが、ROUTE END の魅力なのだと思います。

真人(もう春野弟と呼ぶ気にはなれない。。)の一人称で描かれる春野家の過去は、本当につらいです。『僕には感情がない』と独白しつつ、どう見ても、深く深く傷ついてしまっている真人。そして、太慈の抱擁も一歩間に合わず追い詰められて凶行に至ってしまう姿を見て、気持ちは沈みました。

太慈を慕う真人の気持ちは本物だったのだと思うと、これまた一層つらいです。

 

 

垣間見えた橘の謎の真実

さて、第38話~第40話は、謎解きの要素をほぼ含んでいなかったのに対し、今回は、橘の謎に迫る重要な描写がありました。

読んだ人はみんな気づいたと思いますが(そして、読んでいない人はこんなネタバレを読んでいないはずだ!!)、真人にぐっさりと刺される全裸の男。

 

まあ、橘でほぼ間違いないと思います。*1

 

理由は3つ。

  1. (絵のタッチが独特なので絶対の確信は持てませんが)顔つき(おでこのあたりからこめかみあたりまでの縦線とか)が橘に似ている。(特に橘Dに似ています)
  2. 刺されながら「子供か・・・まったく・・・可哀そうに」と加害者を気遣う独特の態度は、裸の男が死を超越した存在であることを示唆しており、同一の指紋を持つ死体として何度も現れる橘A~Dと強く整合します。
  3. 第23話では、橘Cの死体が発見された林で、橘Dが森林組合の人の服を奪って着込んでいます。第24話で、鬼頭が橘Dが「なぜ現場付近にまだいた?なぜ服をはぎ取って身に纏う必要があった?」と疑問を呈していますが、これは、今回第41話を読んだ人が思った「なぜ山に突然裸の男が?」という疑問と符合します。第23話で橘Dが犬飼に対して「間が悪い」と言ったことも踏まえて考えると、橘Dは、林の中で死から 再生復活 か何かしらそんな感じのことをしていて、そのときは裸になるんじゃないかなと思います。今回の話で「ふう・・・」とか言ってる感じも復活っぽくないです?笑(橘Dに似ているのも、橘Dが復活したてほやほやだから状態が似ているのではないかと推測)

 

なので、私としては、橘の謎は、

死んだら、その近くで裸で生き返るちょっとファンタジーな存在

である、と予想します。

(第14話で3人のDNAが一致したと初めて聞いた五十嵐さんの第一声がまさかの大正解ということになる!)

 

そして、今回真人に殺されたのが橘Aなのかな、と思いますね。

第37話で、真人は、ENDの犯行とされる8人にプラス1した9人を殺害したと話しており、これが橘Aの殺人なのだと思います。(他の8人を殺しているかは不明。前回記事に書いたとおり、嘘ついている可能性がある。)

「8年前に橘Bが特殊清掃を行った時点で、すでに白骨化していた死体を、別の場所から運んだと思われる」みたいな趣旨の記述が第1話にありますので、橘A自体は相当昔に死んでいるはずです。時系列的にも合うと思います。

それを、やっぱり、橘Bが自ら処理して、自ら運び込んだのかなと思います。包丁の証拠隠滅は真人が何かたくらむようですが、死体の処理までは子どもには荷が重いかと。これは次話以降で明らかになるはずです。

 

正直に言うと、うーん、なんだかなぁという気持ちではあります。

突飛なストーリーながら、繊細な心理描写で高いリアリティを維持してきた作品なので、その大きな謎の種明かしが、ファンタジーな感じになってしまうのかー、と。

 

い、いいですけどね!もちろん!

 

 

残る謎

橘Aの復活のトリガーは何なんだろうという謎は残ります。死んだ?それとも、あそこで生まれた or どこかからやってきた?

 

あと、山の上に神社ができた経緯ですね。今回の時点では、神社も階段も無さそうでした。

(ちなみに、第5話で、神社のある山が高祖根署の駐車場に続いている旨の五十嵐の説明があり、第41話で真人が「この山の周りに警察署あったよな」と言っているので、同じ山と考えていいと思います。)

第1話に太慈が「この小山の周りを取り巻いて色々あんだよな」と思わせぶりなことを言っていますし、この小山と橘と神社と、、そして、もちろん謎の雰囲気をたたえた神主兼心理療法士 江崎の謎にもつながるはずです。

 

江崎と橘の顔の雰囲気も似ているし、もしかすると、橘の再生の秘密、もしくは誕生の秘密にすら関与しているかもしれません。 

 

 

 

 

謎がファンタジックに回収される見込みが高い以上、真相そのものより、それを通じて中川海二先生が伝えようとするメッセージに期待をしたいと思います。

きっと、心を強く揺さぶられるものと思います。

 

それでは、あと二週間、次の展開を首を長くして待ちたいと思います。

それではまた!

 

 

過去のネタバレ考察はこちら

toshikuro.hatenablog.com

 

*1:Endの正体考察で「End の正体なんですが、主人公の春野太慈(以下、春野)でほぼほぼ間違いないと思います。」と言いつつ外した私ですが。。

Googleドキュメントの変更提案が、ファイルコピーしたら全部消える件についての対処法

タイトルのとおりです。

 

職場でGoogleドキュメント使うことが多いんですけど、

編集履歴を「版の履歴」で見ようとすると見づらくて、*1

提案モードで編集することが多いです。

 

利点は、この記事のとおり。

enjoy.sso.biglobe.ne.jp

 

 

編集履歴を記録として残しつつ、編集後の文書を元にさらに編集したいときとかに、Wordだと、編集履歴のついたファイルをコピーして一方の履歴を反映し、

******_redline.docs

******_clean.docs

みたいにrenameすることが多かったんですが、

 

Googleドキュメントで、編集提案のついたファイルをコピーすると、編集提案が全部消えて、元のドキュメントがコピーされるんですね。これはちょっと困ったぞ、と。

 

で、解決策を思いつきました。

 

① 編集提案を全部受け入れる

② ファイルをコピーする(提案受入れ後のファイルがコピーされる)

③ コピー元のファイルに、元に戻す(Ctrl+Z)で、編集提案を復帰させる

 

イデアってほどでもないけれど、まあ解決しました。

 

ドキュメントはひとつ!

しかるべくアップデートしていって、ログだけ追えればOK(だが、実際は振り返りは不要)

 

みたいな管理法の方が、効率的で生産性高そうだし、ファイルも無駄に増えないんでしょうが、まあそうもいかない職種もあると思うので。

こんな方法もあるよ、とネットの片隅に置いておきます。

*1:版が自動で複数取られて、どの時点でどの変更がなされたかバラバラに表示されるので、元からどう直したか一覧で見るのが難しい。ただ、厳密にログを追うという意味では便利なんだろうけど。

【ネタバレ】ROUTE END 第37話 についての考察

はい。待ちに待った土曜がやって参りました。ROUTE END (ルートエンド) のお時間です。

 

 

ROUTE END 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ROUTE END 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

 

 

もう、早くネタバレに進みたいので以下省略。

ネタバレすごいので、まだ読んでない人は読まないでネ。

ホントに、ネタバレだけ読むと人生損しますよ。最初から漫画を読んでから、気が向いたら読みにきてください。

 

 

 

 

 

======================

ネタバレ

注意

ネタバレ

注意

======================

 

 

さて、第37話は「加害者家族」と、タイトルからして鬱。謎解きに一直線にならず、まずは加害者家族になるということの苦悩を掘り下げるという鬱々展開です。この先に、希望のRouteはあるのか……つらいです。

 

 

謎解きはスローですが、謎解きに向けたタネは少しずつ蒔かれています。

主に鬼頭絡みの2シーンについて考えるべき点があるように思ったので、以下、考察してみます。

 

 

鬼頭が春野弟に殺害人数を訊ねたシーンについて

 

春野弟は、少し考えて

「9人…?」と答えました。

現行犯逮捕の現場で見つかった女性を含めてです。

 

ENDの被害者は、公式には今のところ8人です。

1人目は戸崎悟

2人目は高橋和

3人目は若狭パパ

4人目は小田慎太郎

5人目がアウン橘B

6人目が加藤臣

7人目が仮面の男、橘C

8人目が今回の現場にいた女性です。

 

9人目は誰なのか。

作中で死亡しているのは、

5人目の発見場所の床下から出てきた橘Aの白骨と、

自殺に見せかけられた菊田巡査長(脅迫されてた警官)です。

 

菊田は、Dに殺された感がすごいので、とりあえずAでいいのではないかなと思うのですよね。鬼頭も「白骨を含めれば数は合う」と言っています。

そうだとすれば、春野弟の最初の殺人はかなり前ということになります。

それに、橘を3回殺していることになり、橘の謎に、春野弟が何らかの関与をしていたことが示唆されていると思います。

 

ただ、春野弟が嘘を言っている可能性は高まったと言えると思います。

春野弟は、人数を思い出すように一拍黙りますが、

その時に右上を見ています

 

右上を見るのは、体験していない事実を視覚的に想像している兆候として有名で、

過去に語るときに右上を見るのは、嘘をついているサインであると言われています。

私個人としてはあまり信じていない言説ではありますが、作者が描写の中でそれを意識していないはずがありません。

 

これは、Endの真犯人は春野真人だった、で End の謎は終わると思いきや、もうひと悶着あるような気がしてまいりました。

ドキドキしています。

 

 

 

鬼頭が現場で見た光景

橘A~Dが同一人物であるという前提で検討できるほど柔軟かつ鋭敏な思考力を持つ鬼頭をして「どういう事だ?」と小坂に尋ねさせしめる光景が広がっていたことになります。

 

ここでの最初の問題は、小坂と鬼頭がどこを見ているかです。

逮捕現場の家の間取りは、35話の五十嵐突入シーンである程度分かりますが、概要以下のとおりです。

(図を描けるといいのですが、絵心が無くてごめんなさい)

 

玄関入ってすぐ右に洗面脱衣所への引き戸があり、洗面脱衣書に被害者の衣類がたたまれていて、浴室扉の先の浴室に解体中の遺体がありました。

玄関の正面(洗面脱衣所から出て右)には、リビングへの開き戸(リビングに向かって開く)があり、洗面脱衣所からリビングに向かって、血の足跡があったのです。

リビングに入ってすぐ右に引き戸の収納があり、その中に春野弟がうずくまっていたのでした。

 

第37話では、普通に考えると遺体を見ているような気になるのですが、

小坂は、玄関から入ってきた鬼頭を、明らかにリビングの扉の向こうから見て、こっちに来いと首をクイッとしゃくっています。

そして、小坂が玄関から遠くにいることを考えると、位置関係的には、小坂と鬼頭は、春野弟がうずくまっていた収納の中を見ている形になります。

 

収納の中の何を見て、鬼頭は驚いたのでしょうか。

鬼頭は、我々も既に見たものを見て驚いているのでしょうか。

それとも、我々から見えていないものを見て驚いているのでしょうか。

 

我々は、第34話で、うずくまる春野弟の背景として、収納の一部を見ています。掃除機や小箱に違和感はありませんが、板やロープで縛られた布のようなものが見えます。DIY女子だったと言われればそれまでですし、現場が被害者の自宅かもまだわからないのですが、女性の家の物置にあるには違和感のある物ではあります。

また、収納の中は、うずくまる春野弟を立った視点から見下ろす構図なので、壁の上の部分に何かメッセージらしきものが残っていたとしても、見えていない可能性はあります。これは分かりません。

ただ、この点については、これ以上、考えが及びませんでした。

鬼頭の解説を聞きながら、私も驚きたいです。

 

 

 

さてさて、謎は深まるばかりです。

あと二週間首を長くして待ちたいと思います。

それではまた!

 

【爆裂ネタバレ注意】Route End ついに End の正体が判明 【衝撃の35話】

ROUTE END (ルートエンド)という漫画を知っているでしょうか。

 

 

もう、早くネタバレに進みたいので以下省略。

ネタバレすごいので、まだ読んでない人は読まないでネ。

 

 

======================

ネタバレ

注意

ネタバレ

注意

======================

 

 

 

1.End の正体

 

さて、前回長々と推理してみましたが、

toshikuro.hatenablog.com

ほぼほぼ間違いない、とまで言い切った End の正体が大外しでしたね。

でも、個人的には、太慈が犯人じゃなくて、やっぱりうれしいです。

(負け惜しみじゃないよ!!)

 

やはり、キーになるのは、32話の鬼頭と七瀬の会話でした。

再度引用しますね。

 

鬼頭「林の死体がCの可能性があるとなった時点で、あの日が違った意味を持ったが」

七瀬「ええ・・・」

鬼頭「それによって疑わしくなった奴らには犯行日のアリバイがあった」

七瀬「刑事が証人のアリバイですね」

鬼頭「となるとあの日の橘の言動の意図が不明だ。(中略)まあ普通に考えればあの近辺の人間が」 

 

前回の記事でも言及しましたが、

「林の死体がCの可能性があるとなった時点で、あの日が違った意味を持った」というのは、仮面の男Cが春野兄弟を襲った日の意味が変わったということを意味しています。CがEndの被害者になったことで、C≠Endとなると、CはわざわざEndを名乗ってまで春野兄弟を襲ったことになり、意図が分からなくなります。

そして、「それによって疑わしくなった奴ら」というのは、仮面の男Cと直接会ったことでEndの容疑者から外れていた春野兄弟のことです。

そして、そこには犯行日のアリバイがあった→鎌田による偽のアリバイだった

と、いうのが流れになります。

 

なので、春野真人(弟くん)*1が犯人でも矛盾のない形で、春野太慈へのミスリードが行われていた形になりますね。

 

私は、以下の理由で、弟くん犯人説をアッサリ捨ててしまったわけですが、

なので、鎌田によるアリバイが崩れてしまった「疑わしくなった奴ら」というのは、春野と春野弟で間違いないと思います。

ただ、「実は春野弟が End でした」と言われて、どうですかね。
そんなの納得できます?

という身も蓋もない理由と、第34話で、End の現行犯中に 春野弟は 妻の乳癌の手術に付き添っていたことや、C が 襲撃時に春野弟をほぼ相手にしていなかったこと等から春野弟が犯人である可能性は非常に低いと考えています。

乳癌付添い手術は、推理モノにありがちな時間描写のズレでしたし、

弟くんだというのも(今後、納得できるオチがつくかは別として)、丹念な春野太慈へのミスリードを鮮やかに裏切る見事な演出でした。

効果は抜群だったと言えるでしょう。

 

 

2.弟君の動機

 

弟くんの動機は良く分かりません。兄ほど荒れずに少年期を過ごしてきたように見えていました。家族を築いていることや、人格的にも安定した雰囲気や、兄との対比でそう思わせるところがありました。

母の自殺の時点で、10歳という年齢だった兄と比べて、もう少し幼かったから衝撃も薄かったのかなと何となく想像してしまっていましたが、それが偽りの姿だったのは間違いないですね。

 

32話で、春野パパが、

八千代... こんな遺書子供に見せられるわけないだろ...

と独白していますが、この遺書も関係するのかもしれません。

 

ただ、やっぱり、動機に関する伏線は薄いと言わざるを得ず、

逆に、しっかりと異常性が描写されている橘BCDや、明らかに異質な江崎の関与があったということにならないと、困ったことになってきます。

ただ、あんまり荒唐無稽な話でも困ります。

 

二時間ドラマやコナン君みたいな「憎かったのよぉ~~~」的動機吐露は白けるし、

かといって、

「ぬははは、実は私が黒幕だ」+「おで、殺人マシーン、、、」となっても白けるし、

着地が難しそうだなと感じますが、ここまでドラマつくりの上手い中川先生なら、ぜったい唸らせてくれると信じて、また2週間待とうと思います。

 

 

3.橘BCDの目的

BCDの目的が、いよいよ分からなくなってきました。

BCDにとって、太慈はいったいどういう存在なのか。

これも、超期待です!!!

 

(もちろんABCD同一人物の種明かしも。突然のSF展開だけは勘弁してほしい。。。)

 

 

4.太慈と春野家のこれから

犯人じゃなくても、太慈や春野家のこれからを思うと心が重くなります。

救済や再生がありうるのか。

しつこいですが、この物語がどう終わるのか、楽しみです。

 

(終)

 

*1:JUMP+のコメント欄では兄だと思っている人も多いけれど、弟です。初出の6話でしっかり説明されています。

【ネタバレ超絶注意】マンガ 『ROUTE END』(ルートエンド) について、犯人種明かし回の直前に、考察してみる

ROUTE END (ルートエンド)という漫画を知っているでしょうか。

 

ROUTE END 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

ROUTE END 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 

 

講談社の漫画アプリJUMP+で 隔週連載されているミステリー漫画です。

連続猟奇殺人という、今となってはやや手あかのついたジャンルながら、特殊清掃業(遺体処理を含む部屋清掃等)という特殊なディティールと骨太の人物描写で、異彩を放っている漫画です。

際立った画力で描かれているわけではないのだけれど(失礼)、強烈な表現力と印象的なシナリオに目が離せません。

 

この漫画、驚愕の展開を経た後、
今、犯人である End が誰なのかの種明かし寸前というタイミングであり、その不吉な予感に、JUMP+のコメント欄は悲鳴で溢れています。

 

 

普段は、ネタバレは書かないんだけど、我慢できないので、自分の整理も兼ねて以下考察まとめてみました。

ネタバレ激しいので、未読の人は回れ右でお願いします!

 

======================

ネタバレ

注意

ネタバレ

注意

======================

 

 

はい。ネタバレ見たくない人は帰ったはずなので、始めましょう。

 

 

 

 

 

1.End の正体

 

さて、34話では、警察の捜査本部が容疑者を一本に絞って確保に向けて動き始め、橘Dが鬼頭に対し、End がとある場所で 犯行の真っ最中 だという情報提供をしました。

なので、第35話では、ほぼ間違いなくEndの正体が明らかになります。
(いきなり誰かの回想が入るとかいう悶絶な展開があったら別だけど)

 

で、End の正体なんですが、主人公の春野太慈(以下、春野)でほぼほぼ間違いないと思います。

作者のミスリード(誤った犯人への誘導)だという期待は捨てられないですが、ここはほぼ確定かと。

 

1.1. 捜査本部による容疑者確定経緯

第34話で捜査本部が容疑者を絞った理由は以下の2つ。

  1. B殺害現場への侵入機会があった誰かが明らかになったことと
  2. サボり常習犯の鎌田巡査部長のサボりにより、誰かのアリバイが消えたこと

です。

物語の時系列的には 1 → 2 だけれど、まずは 2 から行こうと思います。

 

1.1.1. 消えたアリバイ

サボりの鎌田が誰のアリバイを証言していたのか、当然ながら直接の言及はありません。

ただ、鎌田による幻のアリバイは、第32話で鬼頭によって言及されているアリバイであると考えられます。重要なので、該当する会話を少し長めに引用します。

鬼頭「林の死体がCの可能性があるとなった時点で、あの日が違った意味を持ったが」

七瀬「ええ・・・」

鬼頭「それによって疑わしくなった奴らには犯行日のアリバイがあった」

七瀬「刑事が証人のアリバイですね」

鬼頭「となるとあの日の橘の言動の意図が不明だ。(中略)まあ普通に考えればあの近辺の人間が」

まず1文目ですが、
C とは 三つ子C であり、春野と春野弟と春野甥を包丁で脅した仮面の男です。

従来は、C が End であるというのが定説でした。C による B(アウン橘)殺害現場についての秘密の暴露*1があったからです。

これによって、C の襲撃に居合わせている春野と春野弟(一応、春野甥と五十嵐も)は End の容疑者から無条件に外れていたことになります。

ただ、C が End に殺されたとすると、C ≠ End となり、春野や春野弟を容疑者に戻す必要が出てきます。なので、3文目の「それによって疑わしくなった奴ら」とは、春野や春野弟と考えられます。

4文目には、「刑事が証人のアリバイですね」とあり、これが鎌田によるアリバイと結び付き、まさにこのアリバイが崩れたと考えられます。

なので、鎌田によるアリバイが崩れてしまった「疑わしくなった奴ら」というのは、春野と春野弟で間違いないと思います。

ただ、「実は春野弟が End でした」と言われて、どうですかね。
そんなの納得できます?

という身も蓋もない理由と、第34話で、End の現行犯中に 春野弟は 妻の乳癌の手術に付き添っていたことや、C が 襲撃時に春野弟をほぼ相手にしていなかったこと等から春野弟が犯人である可能性は非常に低いと考えています。

なので、この事情は、春野犯人説を補強する事実と言えます。

 

ところで、さっきの引用の3文目に戻ると、「犯行日のアリバイがあった」というところの「犯行日」ですが、これは正直分からないです。5文目の「あの日」が 橘B が失踪した日のことなのは分かりやすいので、橘B 殺害の犯行日と思いそうになりますが、個人的には、春野が容疑者と仮定した場合、加藤が死んだ日のアリバイのことだと思います。

根拠は以下の2点です。

  1. 少なくとも、5人目の被害者である橘Bの犯行日以前である可能性は低い
    春野が重要参考人に加わったのは、5人目の被害者である橘Bについての犯行の後のはずで、その前となると、偶然居合わせたという類の証言となる。鎌田がわざわざそんなウソをつく理由も薄いです。橘Bが被害者になった後は、春野は少なくとも重要参考人ではあったはずで、C による襲撃の後は、警護対象でもあったはずで、鎌田が、どうせ容疑者からは外れているし、襲撃もないだろうとたかをくくって、監視兼警護をサボっていたというのが自然かな、と。
  2. 犯行日が明確なのは加藤だけ
    橘B や C を含めた End の被害者については、犯行日は、司法解剖で推定はされているものの、ある程度幅があります。加藤は遺体発見前日の夜に柳女と話しており、犯行時刻まである程度特定可能です。そういう犯行について、犯行時刻のアリバイがあると無いのとでは大違いです。

 

ちなみに、会話描写から不要な説明や修飾を省く(会話している人たちの間で語る必要がないものは語られない)のが中川海二先生的表現だと思いますし、だからこそ会話に独特のリアリティが生まれているわけですが、一連の会話で「あの日」「犯行日」「あの日」という表現がそれぞれ全部別の日を指しているのはさすがに読み解くのがキツすぎると感じました。

そこがツーカーで通じているのは、鬼頭と七瀬が刑事として優秀かつ頭が切れることを示すものではありますが。 

 

1.1.2. 橘B 犯行場所への侵入機会

橘B は、マンションの空き部屋で End 文字にされていました。

そこは、橘B がかつて特殊清掃した部屋で、床下には Aの白骨が眠っていた部屋でもありますが、*2End がその部屋に侵入した方法は不明なままでした。

第9話で酒井主任(合コンお姉さま)が仲介・管理業者に聴き込みをしていて、その前後で、カギに細工した形跡がないことが明かされています。

ところが、その部屋の管理人が、鍵が未交換であったことに気づき、警察に申告したことから、事情が変わってきます。

ここは酒井主任から野口係長に説明されているので分かりやすいですが、空き部屋になる前の住人が、合鍵などを所持していた場合、その人には犯行の機会があったことになります。前住人が、End 本人である可能性も考え、拳銃を携帯して訪れた結果、前の住人が、春野の知り合いの女性であることが明らかになります。

前住人から話を聞いた後の五十嵐の反応(次に説明します)や、鎌田にアリバイ確認に行った描写から、春野は、前住人を通じて橘B発見現場の部屋の鍵を入手していたと思われます。

 

1.2. 五十嵐の反応

春野が犯人であること、少なくとも捜査本部が容疑者を春野に絞ったことを示す一番分かりやすい描写は、五十嵐の反応です。

第34話の冒頭で、橘B 発見現場の前住人の家から出てきた五十嵐は、慌てて鎌田の下へ向かいます。おそらく、前住人の女性から春野への繋がりが示され*3 その足で春野のアリバイが本物なのか確認に行ったと考えると筋が通ります。

五十嵐の必死さ、慌て方は、長らく行動を共にし、自らの弟の自殺から立ち直るキッカケを与えてくれた春野が犯人である可能性に対する焦りであると考えられます。

また、犬飼(サボりの鎌田の相方で、Dに襲撃されて頭に包帯巻いてる君)が、第34話の捜査本部の会議の後で、「大丈夫ですか?」と気遣っていることは春野容疑者で捜査方針がまとめられていることを示唆しています。

犬飼は、第29話で五十嵐が春野に電話するシーンや、第33話で春野が女性といることに対する五十嵐の反応などを見て、五十嵐が春野に対して、警察官が通常の事件関係者に対して持つ感情とは少々異なる感情を持っていることに気づいています。

その犬飼が、五十嵐に対して大丈夫ですか?と気遣う理由は、春野が容疑者としてほぼ確定してしまったこと以外には考えられません。

五十嵐の心中を思うと、つらいです。 

 

2.犯人の動機と犯行態様

2.1. 仮説ー End の 多重人格+記憶喪失

これほどの犯罪であるから、犯行の動機の解明は必須です。

しかも、読者が納得できる(少なくとも理解はできる)動機である必要があります。

春野は、幼少期の母の自殺に大きな影響を受けています。それは第1話から一貫した春野の人格描写の主軸です。それが、春野の End としての犯行に関連していることは間違いないと思います。

ところで、春野が犯人だとすると、少なくとも犯行時のしま状な記憶喪失があると考えないと、End の犯行に対する春野のリアクションの数々と整合しません。
そして、おそらくは多重人格であると思われます。

ここは、心理療法士の江崎と精神科医の阿久津という、うってつけの解説者がいるので、何かしら解説されるでしょうが、母の自殺によるトラウマに起因するものと考えてよいと思います。

 

第2話にて、母の自殺時に母の足に噛み付いていたが、自分ではそのことを覚えていないという趣旨の記述があり、このことも、別人格+別人格の行為についての記憶喪失を示していると解釈できます。

このことを考えると、第32話で同窓生が春野のことを「ヤバかった」と指摘するのも、多重人格的な部分を示唆しているようにも思われます。*4

 

ここからは単純な推測ですが、春野の母の足に噛みついたエピソードと、春野の怒りに関するエピソード(被害者の息子である若狭、春野弟そして春野自身によって語られています)を考えると自殺者に対する怒りが犯行動機のように思われます。

 

2.2. End の罪

完全な想像ですが、End=春野 による犯行は、殺人ではなく、首吊り自殺者に対する死体損壊+遺棄なのではないかと思っています。

犯行動機は、自殺者への怒りであり、春野は、橘との出会いや特殊清掃業を行う中で自分の中にある 抑えようのない怒り と折り合いがついていったと思っていたが、
実は、春野の人格から分離した別人格に追い出しただけであって、
別人格の中に怒りが鬱積し、犯行につながったというストーリーです。

春野は、誰かの首吊り自殺者を目撃すると、人格が Endにスイッチして犯行に及び、通常の人格に戻った後は、前後の記憶を喪失するのです。

 

そう考えると、悲しいながら、美しい物語になります。

そうあってほしいと思います。

 

首吊りの目撃場所としてあり得るのは神社です。第5話で実際に自殺未遂者が出ていることと、橘Bが神社に向かった描写を最後に消息を絶ったこと以外にそれを示す描写はないですが。

特殊清掃業の現場でスイッチが入らないのは、自殺遺体そのものを見ることが無いためで、第9話の未遂者を目撃してもスイッチしていないため、縊死遺体を目撃しないとスイッチが入らないのではないかと推測しています。

 

 

2.3. 仮説に対する反対事実

ただ、乗り越えるべき反対事実もあります。

 

2.3.1. 検察の検死結果

第11話では、死体解剖の鑑定結果が明らかになっていますが、被害者の死因は3人目の被害者である若狭パパを除いて全員が、甲状軟骨と舌骨の骨折の所見を根拠に、扼頸による窒息死と判断されています。

名古屋市立大学の法医学分野のHPによると、
窒息死は、以下の3種類に分類さます。

  1. 縊頚(hanging)
  2. 絞頚(ligature strangulation)
  3. 扼頚(manual strangulation)

 

www.med.nagoya-cu.ac.jp

 

警察の所見は3の扼頚で、仮に扼頚であるとすると他殺であることはほぼ間違いなくなります。

扼頚は実質的にはすべて他殺と考えてよく,被害者は体格,体力的弱者(高齢者・小児・一部の女性)が多い
"上記名古屋市立大学HPより引用"

私の仮説は、1の縊頚→死体損壊なので整合しません。

第11話の報告では、扼頚の根拠は舌骨と甲状軟骨の骨折だけが言及されていますが、名古屋市立大学HPによると、これら骨折のような頸部の部所見は、縊頚と扼頚を判別する際の決定的な要素ではありません。顔面のうっ血、索痕、死斑等から総合的に判断されるようです。

ただ、End事件の場合、遺体はEnd文字にされるために損壊されており、特に首部分は切断されています。更に、第2被害者と第4被害者は死後発見されるまで時間が経っているため遺体状況が良くありません。

また、縊死した後に死体損壊するという事態は想定されていない可能性もあります。

なので、警察の検死結果のみで、死体損壊説が確実に失われるわけではないと思います。

 

2.3.2. 第3の犯行の異質さ(若狭パパ)

若狭氏の死因は失血死であり、殺人の被害者であることが強く示唆されています。
また息子から語られる被害者像も、自殺とうまく結び付きません。私は、自殺者に偏見は無いつもりだし、誰にでも訪れ得る危険だと思いますが、親族や他人に迷惑をかけて悪びれない放蕩家というのは、自殺者から一番縁遠いステロタイプのように思われます。

結論として、私は、第3の犯行は、春野の犯行ではないと考えています。
犯人は、若狭Jr.と思わせつつ、橘Bなのではないかと思います。

目的は、End 春野の犯行を止めることです。模倣犯が生まれることで、春野の通常人格がEndの存在を認識し、End人格の凶行を止められると考えたのではないでしょうか。

実際のところ、春野は、橘Bが被害者になるまで、Endの犯行について良く知らなかった様子でした。

そうなると、橘は、目的のために手段を択ばず、殺してもいいと判断した人間は殺す、ある意味サイコパスな人格ということになってしまうのですが、柳女の自殺を止めた後の会話で自分の存在を他言したら柳女を殺すとサラッと伝えていることや、菊田(強請られた刑事)をアッサリと殺してしまったところは、そういう人格を裏付けているように思われます。


2.3.3. 加藤臣についての犯行

加藤と柳女の最後の会話からは、加藤が自殺しようとしていたとはなかなか考えられません。
Dが、加藤の死については、柳女に「見当ちがいをしていた」ため「救えなかった」と述べている点も興味深いです。
私の仮説と矛盾しない説明は3つ。

  1. 加藤は、やっぱりあの家で自殺した。
  2. 加藤の犯行では、春野(別人格)がこれまでと違ったパターンを取り始めた。
  3. 加藤は、春野以外に殺された。

3は無いと思います。加藤についての犯行は、春野のアリバイに関連する部分ですし、ここを春野以外が手を下す物語上の理由は薄いです。
加藤は一番掘り下げた心理描写がなされた被害者であり、物語において一番やるせない部分ではありますが、だからこそ、この犯行は春野の手で行われている必要があります。

1は、意外にあると思います。柳女との会話で人生に希望を見出したように見えたその後であっても、絶望はなかなか諦めません。加藤が家族と暮らした家で、"何か"があって、加藤は生きることを諦めてしまった。考えるだけで苦しいですが。あり得る話です。(春野は、加藤から「柳女を頼みます」等とメッセージを受け取ったとか)

2もあり得ると思います。橘B を処理し、春野の通常人格がEndに強い憎しみを持ったこと、春野のEnd人格も変質してしまったという形です。物語上の必然性が微妙ですが。

 

他にも謎はたくさんあって、どう解決されるのかが楽しみなような怖いような。。

 

3.橘ABCDの謎

ルートエンドの最大の謎は、もはやEndの正体よりも、橘ABCDだと思います。物語の根幹に関わっているのは間違いないながら、極めて不可解です。

3.1. 指紋の一致

最大の謎は、ABCのDNAが一致し、それどころか、BCDについては指紋まで一致してしまいました。
劇中でも語られていますが、遺伝子が一致している一卵性双生児でも指紋は異なります。もちろんクローンでも指紋は異なります。
採取ミス、照合ミス、人為的な証拠改ざんの筋は、鬼頭が丹念に潰しており、指紋の一致自体は事実として受け入れないといけない雰囲気があります。
どんな説明が可能なのでしょうか....。
 
橘はネウロに出てきたXiのような人間を超えた存在で、自分のコピーを作れるとか、
死ぬと再生するとか、
同一人物が時空間を移動して分岐しているとか、
そういうファンタジックなオチ以外の謎解きがあり得るのか、正直不安です笑。
 
正体についての直接の手がかりは以下くらい?
橘Bは白髪だが、橘CDは黒髪であること(橘Bの方が歳上?時空移動?)
橘Dは自分のことをワイルドカードだと読んでいる(ファンタジーな、なんでもありな存在?)
橘C発見現場近くに橘Dがいて、服を奪って逃走(橘Cが死んで、橘Dが裸でターミネーター的に出現?)
 

 3.2. 橘ABCDの目的、言動の意味

謎が多すぎて切りがないので、列挙してコメントするスタイルで以下いきます。

 
橘Aはいったいなに?
ー不明。想像もつかない。ただ、発見現場である、End第4の犯行現場で、橘Bが特殊清掃を行ったのは8年前(大家談)で、すでに春野は在籍している時期(橘Bが福島のところで特殊清掃を始めたのが14年前。その2年後である12年前に独立。その2年後である10年前に春野を雇用。*5
 
橘Bが最期に春野にかけた「終わるんだ」という言葉の意味は?
ー不明。ただ、春野がEndだとすると、「(〇〇が)終わるんだ」という主語省略型の報告ではなく、「終われ」という命令形で諭しているように聞こえる。同様に橘Dの「終わるぞ」*6は、「(一緒に)終わろう」に聞こえる。
 
橘Cの目的は?
ーEnd を演じることで、春野を容疑者から外そうとしたと思われる。橘Bの死で、春野の犯行は止まるはずと思っていたのでは?
 
橘Cが言う「作品作り」とは?
ー不明。橘の死体かもしれないし、春野を通じて作成するEnd被害者かもしれないし、Endであることを装うためのそれらしいセリフにすぎない可能性もある。
 
橘Dが加藤を救おうとした理由は?
ー不明。春野の犯行を終わらせたかったということかもしれない。加藤の顔の上に仮面を置いたのは橘Dで間違いなさそう。
 
橘Dが春野を真犯人として差し出す理由は?
ー止める方法が他に無いという判断ではないかと思われる。
 

4.その他の人々の謎

4.1. 江崎(心理療法士兼神主)

神社、神主、心理療法士という職業という特殊な属性を持っている人物です。
物語の根幹に関わっているのか、象徴的な語り部にとどまるのか、現状あまりヒントのない存在と言えるでしょう。
4.1.1. 共犯としての江崎
共犯の場合、End春野の共犯か、橘の共犯か、もしくはどちらの共犯でもある可能性もあります。
春野の多重人格の治療に当たっていた可能性はあり、この場合、End人格に対する守秘義務として、春野に対しては初対面のフリをしたことになります。
春野の多重人格を作り出したり、意図的に強化した可能性もあります。そんなことができるのか分かりませんが。
この場合、橘の秘密には関与している可能性が高いと思われます。
4.1.2. 純粋な悪
印象的だったのは、第30話の精神科医阿久津との会話です。
幸福に健やかに育てられた過去を持つ異常犯罪者はいない。健やかなる悪がいたら奇跡。唯一神の真逆。対となる悪魔。と何とも言えない会話が繰り広げられます。
これが、本編と関係していない可能性はほぼ絶無だと思います。
この場合の健やかなる悪のイメージに近いのは橘です(前述のサイコパス的描写や、橘Cの挙動から思う)。ですが、もしかしたら江崎自身も、春野を通じて、そういった姿を追求している可能性もあると感じさせる不吉な会話でした。
4.1.3. 髪
江崎のトレードマークは長い髪です。
その髪を御神体にしていたりして、いかほどの意味があるかは分かりませんが、なにか象徴的な意味はあるように感じます。
髪の細胞は毛根で絶えず生成され、髪の毛になった時点では死んでいます。
それでも、髪の毛は人の印象を左右し、遺髪はその人の象徴として取り扱われたりします。
人の身体の中でも分かりやすい再生の象徴ではないかなと思います。
シンボル学での取扱いは知らないので、適当に言っているだけですが。
 

4.2.阿久津(精神外科医)

春野のマンションを見ていたのは、昔自分と似た人が入っているのを見たことがあるから

神社をうろついていたのは、江崎のスカウトのため

と、一旦、すべての行動には合理的な説明がついてしまっているキャラではあります。

ただ、五十嵐の弟との関係等、多少の含みは残っているので、犯行への関与の可能性も捨てきれず。。

 

5.最後に

疲れて最後ややグダグダになってしまいました。

本当に橘の秘密の解明が楽しみです。もちろんEndの正体も。

はやく5/19になれ~

*1:捜査官が知っている情報だから、厳密には秘密の暴露じゃないけど

*2:勘違い。それは第4の被害者の発見現場でした

*3:部屋の外で会話を聞いていた刑事2人が驚いて顔を見合わせる描写は、五十嵐が春野との関係を話題に出し、春野に犯行機会があったことを示す事実が前住人から語られたことを示唆しています

*4:これはさすがに深読みかもしれないです

*5:すべて第9話の福島のコメントが根拠)

*6:第33話の最後

西濃は神、マジ卍|ダスキンへのベビーベッド返却時にトラブってるという話

まとめ

  • ダスキンで借りていたベビーベッドの返却でトラブル
  • 西濃運輸。神の伝説が、また1ページ
  • ダスキンには、返送フローの品質も重要視してほしいなあと思った

【注意】すっごい長いよ

 

 

序:ダスキンレントオール|かしてネッと

ダスキンレントオールのベビー用品レンタル「かしてネッと」でベビーバスを借りたという記事を書いた。みなさんにもおすすめした。

実は、ベビーベッドもレンタルしていた。ずいぶん活躍してくれた。2歳まで使えると聞いていたので、そのつもりだったが、息子の寝相が悪すぎて柵にぶつかりまっているため、ついに添い寝するようになった。

12/9に契約が切れるので、延長せずに返却することにした。

返送料はダスキンの負担。荷受け時である2016年10月にはヤマトの着払いの伝票を受け取っていて、ベビーバスもヤマトで返送したが、その後、業者を西濃運輸に変えるので伝票を差し替えてくださいという連絡とともに、西濃運輸の伝票を受け取っていた。

「西濃は神」のコピペは知っていたが、その神たる所以を身をもって知ることとなる。結構すごかったので、自分の備忘も兼ねて、スマホの着信履歴など見ながら書くことにした。

ちなみに、コピペを貼っておく。初出は2006年。10年以上前か。懐かしい。

プルル…プルル
「はい、もしもし
西濃「おるかーー?」
「え…?ど、どちらさまでしょうか…?」
西濃「よーし、おるな!いくわ!
「え、え!?

ピンポーン、ガチャ

西濃「ここやで、トントン(はんこ押すとこを叩きながら)」


   西 濃 は 

 

 

集荷依頼

ダスキンからのハガキによると、返却期限(12月9日)までに(ダスキンに到着ではなくて)西濃運輸に渡せばよいということであった。ただ、12月7日の夜はちょうど夫婦ともに帰宅が早いことが分かっていたので、12月7日の遅めの時間で依頼することにした。

12月5日の22時頃にネットで集荷を依頼した。ネットで依頼できるのは意外で、便利だなと感心した。12月7日19時 で予約。

「頃」 ってのが面白いな、西濃っぽいなとクスっとする。

 

12月7日

約束の19時頃。19時の30分前頃から少しソワソワと待つ。

関係ないのだが、妻が吐き気がすると言って昼過ぎからダウンしていたことにより、思いがけずワンオペ育児だったので『今入浴させると集荷が来た時に出られないな』等と考えながら余計にソワソワした。

20時になっても来ない。頃の幅が気になってくる。集荷の確認メールのディスクレーマーがヒントになっていて、その射程がどのくらいに及ぶのか、何を予め了承してしまったのか、だんだん気になってきた。

<ご注意>

・交通事情等により希望時間帯に集荷できないことがあります。

 予めご了承ください。 

確認メールに記載されていた東京支店の電話番号に電話してみたが、コール音が鳴るばかりで応答はない。確認メールには営業時間の記載は無かったし、営業時間外であるといったアナウンスなども流れなかったが、ずっと鳴らしても反応がない様子から、これはもう明らかに時間外な感じだなと思った。

その後、21時になったころから、住所記載を間違ったかなと不安になってきた。でも、電話番号も書いたしなあ、、両方間違うなんてあり得るか?

22時になるものの来ず。もう、これは来ないなと思った。明日問い合わせようと思って、用事を済ませて寝た。

 

12月8日

息子を保育園に預けに行く途中、バスの中で息子が盛大に吐いてしまった。
対面の抱っこ紐をしていたので、全部僕の胸でキャッチした。這う這うの体で自宅に帰る。職場に事情を伝えて、病院の予約を取ってともろもろ済ませて、病院の診療時間が始まって、予約の順番が回ってくるまで少し時間があるし、西濃運輸に電話しておこうと思った。

9:02 西濃へ電話

確認メールに記載された西濃運輸の東京支店の番号にかけると、「ホットセンター(うろ覚え)■■です」と名乗るやや年配の女性が出る。

ネットで集荷を依頼したんですが、昨晩約束の時間に誰も来なかったし、連絡もなかったんです、と淡々と状況説明。名前と電話番号を尋ねられて『あれ?このタイミングで申し訳ないとか言わないの?』と違和感はあった(すいませんくらいはあったかも。うろ覚え。ただ、すごく平坦なテンションだったのは覚えている)。

向こうで、12月7日の19時頃の予約が入っていることが確認できた様子で、すいませんでした、と言われる。住所と電話番号が間違えていなかったかを確認するも、合っている様子。

『じゃあ、来れないにしても連絡ぐらいできたよな。それか、完全に忘れてたとか?どっちが悪質かな。はは』と内心思っていると、電話口の女性は「担当の者に、確認してご連絡させます。申し訳ありませんでした」というので、分かりましたと電話を切った。

いやー、俺が担当者だったら電話したくないよなー、と思った。


その後、息子がまた吐いたので、水分補給させたりなんやらしていると、病院からもうすぐアンタの番だよ的メールが届いたので、慌てて病院に出かける。

道中『アレ?1時間くらいたってるのに西濃から電話かかってきてなくない?おかしくない?』と思う。普通、ここまで明らかなミスしたら、最優先で処理しない?と。いや、これはサスガに舐めすぎだろ、と思い、ホットセンター(?)に再度電話する。

 

9:59 西濃へ2回目の電話

ホットセンターの女性が電話に出る。さっきの人とは別の方。不運である。

昨晩集荷をすっぽかされて、今朝電話で問い合わせて折り返すと言われたのにまだ連絡がないんですが、と伝える。

申し訳ありませんと言いながら、電話番号を聞かれる。

どうやら履歴が確認できたようで、再度「担当に連絡します。申し訳ありません」と言われる。

「すっぽかすのも酷いけど、その後すぐに連絡してこないっていうのは、さすがにあり得ないと思いますよ。」と伝える。「申し訳ありません。担当にキツく伝えます。」と女性。

キツく言うと急ぐとかそういう問題なのか?と思いつつ、あんまり関わりたくないなと思い始める。西濃は神のコピペも頭を過り始める。

個人向けの宅配で使ってる人とか聞いたことないし、やっぱり個人相手だとホントに熱意がないんだろうなと思ったし、そもそも西濃運輸に依頼しているのはダスキンレントオールの指定だしとかも頭を過って、

「この荷物は、送り先の法人の方の指定で西濃さんにお願いすることになっています。これでもすぐ連絡もらえないようでしたら、先方へのクレームとさせていただきます。」と伝える。

「申し訳ありません」と女性。この人が悪いわけじゃないんだけど、この人に強く言わないと響かないはず。この調子だと、クレーム多そうだなと可哀そうにもなる。

 


息子を病院に連れて行って、処方箋もらって、調剤薬局行って、お薬の説明受けて、とバタバタ。

水分補給にはイオン水が良いけれど、赤ちゃんはイオン水の好き嫌いが多いから色んな種類を試しなさいとお医者さんに言われたので、途中薬局に寄って7、8種類くらい買い込んで、おうちに帰って、、、

と、ここでスマホを全然見ていなかったことに気づいた。

あー、やだなー。すぐにかけてくるように!なんて強く言ったからには、電話かかってきたところで、シュッと取ってバシッと言いたかったなー。さっきは出られなくてすみませんでしたね、なんつってかけ直すの腹立たしいなー。

とかなんとか思いつつ、スマホ取り出して、着信履歴がないことを確認してしばし呆然。

ここら辺から、だんだん怖くなってくる

もうなるべく関わりたくないなと思ったので、お医者さんの指示通り、息子に吐き気止めの座薬を一発打って、すこし水分飲ませてから(イオン水は拒絶(涙))、ダスキンレントオールのサポセンに電話。

 

11:03 ダスキンへ電話

ダスキンレントオールに、簡単に顛末を説明する。もう、淡々としたものである。

この時点で、西濃への2回の電話を足して7倍したくらい謝られる

過剰だとは思いつつも、『ああ、日本のBtoCってこんな感じだよね!ねっ!おかしいの俺じゃないよね?』という感じでホッとする。

「いやもう、ダスキンさん悪いわけじゃないんですけど、ダスキンさんの指定なんで、アレンジも含めてそっちでお願いできますか?個人相手だと話もしてくれないみたいでして」と我ながら少し厭味ったらしく依頼。

「返却期限は12月9日までで、それまでに西濃に渡さないといけない決まりになっていますから、それまでに」と、またいやらしく言うと、

「そこはもうお客様のご都合の良い日で結構です」とのこと。まずは一安心。

でも、でっかい荷物をずっと玄関に置いておきたくないし、12月9日の遅い時間であればと伝え、、電話を切る。

はー、すっきりしたと思って、しばし息子の様子を見ていると、携帯に着信。

 

11:10 西濃から電話

知らん携帯番号から。

「はいもしもし」と出てみると「西濃運輸の●●ですがー。」と年配のおじさん。「はい。」と応えると、


西濃「集荷の件でー、確認したいんですがー。」

私「はあ」

西濃「相手は法人ですか、個人ですか」

私「法人です」

西濃「伝票はありますか」

私「はい。あります。」

西濃「えーと、、、」

私「(遮って)あの、送り先の法人さんの指定で西濃さんをということなので、そっちの法人さんから日程含めアレンジしてもらうことにしました。なので、そっちから調整の連絡あると思うので、そっちとお話しください。」

西濃「はあ、そうですか」

私「はい。それでは。」

そう、一回もゴメンね的な発言のない驚愕の電話である。

もはや、逆に面白いと思った。このあたりで、ブログに書こうかなと思い始める。

すると、再度着信。

 

11:14 西濃からまた電話

またもや、知らない携帯番号。さっきとは別の番号。「もしもし」と出てみると

 

西濃「はあっ、西濃運輸の△△ですぅ」

私「はい」

西濃「昨日はー、はあ、はあ、すみませんでした。」

私「はい。」

西濃「行けなかったんですぅー。はあ、はあ。」

私「...はい。」

西濃「今日も、19時くらいっすか?」

私「いや、あのー。。。送り先の法人さんの指定で西濃さんをということなので、そっちの法人さんから日程含め連絡してもらうことになりましたんで、そっちと話してください。よろしくお願いしますね~。」

西濃「はあ。はい。わかりました。申し訳ありませんでした!」

 

なぜ息があがっているのか、

さっきの●●さんは誰なのか、

この連携取れてない感じとか、この配送担当の人だけが悪いんじゃなくて、もっと会社としてこんな感じなのかなと思わせる何かがあるというか、

ただ、 すみませんでしたぁーからの、「今日も、19時くらいっすか?」の切替えの感じの不気味さもあって、

とにかく、もう、完全に、”一般人がかかわってはいけない感”が濃厚に感じられた。

 

この人が集荷に来るかもという恐怖から、最後は少し愛想よくなってしまったくらいであった。

うひゃー、こえーと思っていると、今度はダスキンからお電話。

 

11:37 ダスキンから電話

「もしもし、ダスキン××の◆◆でございます。」はあ、癒しだ。この人は癒しだ。

聞くと、西濃と連絡したが、12月9日は土曜なので、16時~17時までが最終の枠らしいのですが、、、とのこと。

こんな中継させて悪いなと思いつつ、じゃあ、もうそこで!となった。

その後しばし雑談として、「いやあ~。コストとかあるんでしょうけど、西濃じゃなくて、ヤマトさんの方がいいですねぇ~」と伝える。

「頂きました意見につきましては、都度報告しておりますので、、」と申し訳なさそうな女性。

「ヤマトさんがいいですとよろしくお伝えください」と苦笑気味に申し入れて、おしまい。

 

12月9日

これを書いている今は、12月9日の22時くらいであるが、お察しのとおり、16~17時に西濃運輸は現れなかったし、現時刻まで何の連絡もない。
あまりにハードコアな経緯だったので、息子(胃腸炎は治った)を寝かせた後で、スマホの着歴見ながら記録に残すことにした。
こんな極小ブログにおいてではあるが、西濃運輸の伝説に、1ページ書き加えさせていただく次第となったのである。

 

思うこと

西濃は西濃

まだ、解決していない段階であるが、思うことを書いておく。

西濃運輸の態度は、イチ消費者としては腹立たしいが、日本のBtoCの品質基準は無視することに決めているんだといった清々しさも感じるというのが正直なところである。

日本のサービス業は国際的にみて奇妙なほどに品質高めすぎていて、その分就労者側の幸福が犠牲にされているといった趣旨の言説もあって(めい〇まさんとか)、個人的に納得するところもある。

め〇ろまさんはヨーロッパの適当労働者のエピソードとかを紹介されたりしてて、確かに私の身の回りでもヨーロッパに留学した友人なんかは、入居した後の電気工事なんかでちょうど今回と似た感じに、適当に扱われていたりして、「アレがフランスの洗礼だったわ。うふふ」みたいに語っていたりする。

何が言いたいかというと、西濃運輸のウリはBtoCのラストワンマイルのサービス品質なんかじゃ全然なくて、彼らはそこを取り繕うつもりも全くないのである。BtoBで、コスト下げて差別化して、あとはぼちぼちしっかり荷物運んだらそれでええのである(たぶん。知らんけど)。

だから、西濃にはもう怒るまい。そりゃ、あんた、地震とか台風に怒るようなもんだわ。神だから。神の御業に怒っても仕方がない。

 

ダスキンにがっかり

(※追記2に書いたが、コストだけを考えて運送業者を変えたという推論は誤っている可能性あり。)

怒るなら、やっぱりダスキン レントオールなのかなと思う。

最初にも書いたけれど、昨年の11月にベッドをレンタルした時点では配送業者はヤマトだったのが、西濃運輸に変更された経緯がある。

これはあくまで想像だが、ヤマトがAmazonはじめとする法人向けの送料値上げを行っていた時期に、その値下げ要求に対して、ダスキンの資材部門あたりが別の事業者に相見積もりをとって、コストが低い西濃運輸が結果的に受注したんじゃないかなあ、と思う。

そうなると、コストカットによるカスタマー体験悪化に直面しているということに他ならないのではないか。

家具のレンタルサービスを受ける者にとって、行き帰りの輸送のやり取りの品質って結構大事だと思う。

第一、かしてネッと というのはベビー用品のレンタルだから、利用者は基本的に子どもの面倒見ながら荷物の受け渡しをしているわけで、そこに西濃運輸をあてるというのは、ダスキンやっぱり酷い、あんまりだと思ってしまう。

イチ消費者、イチ個人の意見としては、レンタルフィーに転嫁してもいいからヤマトに戻して欲しい。

余談だけど、子育てし始めてから、宅急便を宅配ボックスじゃなくて自分で受け取る機会が凄く増えた。そこで思った。やっぱりヤマトの人は感じが良いし、しっかりしてて安心できて、コリャ全然違うわと。すごく感心している。宅配ボックスだとこの品質の違いがわからかった。

過剰品質なのかもしれないけれど、そこに慣れてしまっているフツーの日本人が、西濃さんと絡むと、その差に愕然としてまうワケだ。

 

今後

もう、西濃に連絡する気は毛頭ない。

ダスキンは日曜定休なので、月曜にでもまた電話して、今度はヤマトにさせてよと頼むつもり。

追記するかも。

 

追記1

書いて公開してから、以前、ベビーベッドと一緒に借りたマットレスを、西濃運輸を使って先に返送していたことを思い出した。

息子がつかまり立ちを始めて、柵を高くするためにベッドの床を低くしたのだが、それだけでは不安だったので、レンタルしていた厚いマットレスだけ返し、薄いマットレスに買い替えて、ベッドのみレンタルを延長したのだった。

返却の配送は西濃運輸だったが、トラブルは全く無かった。集荷のことも覚えていないくらいスムーズだった。メールを検索してみたら、8月30日の朝に依頼して、その日の17時には来てくれていた様子。

季節性の要因があるのか、その日じゃなくて次の日の約束だと揮発してしまうのか、分からないけれど、これも書いておいた方がフェアかなと思ったので追記。

 

追記2

ダスキンレントオールに電話して顛末を伝えたところ、受付の女性はえっ!?とやや素の反応。申し訳ございませんと謝られたがもちろんあなたは悪くないです。絶対に行くようにと伝えたのですが……とのこと。

再度確認させてくださいと言われたので、「お任せしますが、もうこちらとしては西濃さんとは関わりたくないので、ヤマトさんとか他のところから送らせて欲しいなあと思ってますので、そこもご検討ください」「はい。わかりました」で終話。

その後、「ヤマトさんで結構ですので、、」との連絡あり。

喜び勇むわたくし。

こちらで手配いたしましょうかと言われたのだが、ヤマトさんでいいなら後はやりますと伝えた。

その時に、「大きい荷物は、宅急便の取扱いができなくなっていると聞いておりますが、引越し便でも何でも構いませんので、送付できるサービスで、着払いで返送いただきたく」みたいなことを言われるも、ここではあまり気にしなかった。

そのままヤマトでweb集荷予約。

備考欄に、荷物が大きすぎて宅急便での取扱いができない場合は、引越し便その他での引き取りを希望と記載。(外だったので、実測できなかった。)

12月11日の17時〜19時を選択した。これが最終枠だったから。

その夜、まさかのヤマトも来ないという事態発生(笑)

この建物がバミューダトライアングルみたいになってるのか、映画『ビューティフルマインド』みたいにすべてが自分の妄想なのか怖くなったが、そこは落ち着いてヤマトのコールセンターに電話(ナビダイアルでお繋ぎいたします・・のやつ)

担当者に確認しますと伝えられ、5分後くらいにヤマトの人が現れた。

曰く、本日は集荷と一緒に配達もあり、8時過ぎの遅い時間であれば受け取りやすいかと配慮してこの時間になったが、集荷が19時までが最終枠になっていることを失念していたとのこと。詫びられた。許す!!

でも、結局、実測したら3辺合計が240cmを超えていて、宅急便の対象ではないと言われてしまった。ヤマトホームコンビニエンスのらくらく家財宅急便へ誘導されるわたくし。

 

どうやら、ヤマト側の取り扱いが変わったらしい。

 

ここで気づいたのだが、ダスキンがヤマトから西濃に変えたのは、コストだけではなく、この取扱い変更によるかもしれない。

らくらく家財宅急便は宅急便に比べてかなり高いらしいので、やっぱり突き詰めるとコストの問題だけれども。。

 

さて、このらくらく家財宅急便、着払いができない模様なので、現在ダスキン側と相談中である。はあ、いつになったら返送できるのやら。

 

 

追記3

忘れてましたが、本件、ダスキンから佐川急便の提案があり、無事送ることができてクローズしています。

(そうやん・・・ニッポンには、まだ佐川くんがいたやん・・・。)

 

「はあーやっと終わった。」

と気を抜いて追記忘れていました。

 

長い話がようやく終わります。

読んでくれてありがとうございました!