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ドキュメント パナソニック人事抗争史 (2015)

 

ドキュメント パナソニック人事抗争史

ドキュメント パナソニック人事抗争史

 

 

なんとなくの立ち読みから、買ってしまうに至った。

面白かった。

 

ただ、途中で少し間が空いてしまったせいで、前半の調子の良い時期と、後半の繋がりがよく分からなくなってしまった。(個人的に)

大まかなストーリーとしては、幸之助は義理の息子である松下正治が人事に関する拒否権を用いて人事を混乱させ、その結果社長になった森下洋一氏の手腕の無さにより松下は混乱を極めた、というもの。

まず、森下さんの施政については、人事の要素のみでなく、個別の経営判断へのダメだしも多くなされており、一線を超えている印象がある。人事の混乱が生み出したモンスター級バカ社長とでもいうような扱いである。USJは惜しいことしたと思うし、1995年に「これからはブラウン管の時代」と提唱して液晶へのR&Dを削減したことなんかは0点としか言いようが無いが、経営判断の裏には必ず根拠となる見立てやトレードオフの要素があったはずであり「バカで、目先だけ見ているから間違った」というだけでは説得力がない。森下さんおよびご家族の心中いかがであろうと思う。

肝心の人事処遇については、本当に興味深かった。個人の資質や過失の問題でなく、大企業病の問題だと捉えるべきだろう。

最良の人たちでも過つということである。

また、松下史としても面白い。1980年の「山の上ホテル事件」などからは、名高い「山の上ホテル」のダークサイドも見えてくる。無理な営業と無茶な顧客が生んだ悲劇だが、B2Bの取引であっても無茶をすると、いつかは白日に出て会社のレピュテーションを落とすという良い例だろう。個人的には、山の上ホテルへの魅力はグッと下がってしまった。友人の結婚式で訪れてから好きだったが、当面、よほどのことがない限り食事をしに訪れる気にもなれない。