ザ・ファシリテーター/森時彦(2004)
よくできた話だった。
ザ・ゴールと似たような装丁で本屋に並んでいたので手に取った。
まず、話として面白い。
議論を活発化させる技法の紹介として面白いし、
業務改革ストーリーとしても、十分面白い。
テクニック面については、こんなに上手くいくのかと思わされる点もある。
アイスブレークをいきなりやろうとするとスベりそうで怖い。物語にも出てきたが、素直にやってくれない人も多そうである。
そもそも、ブレインストーミングのための会議なんて上手くいくのかと思う。上手くいく状況が想像ができない。
ファシリテーターは、結論まではいかなくても、論点くらいは整理して臨まないとファシリテートできないのでは?とも思わされる。ファシリテーターは、議論を誘導してしまうことになるのでは?という疑問もある。
一方で、発散⇒収束といった心理学的誘導や、循環といった議論の隘路を避けるテクニックという意味では、納得できる要素が多かった。
ストーリーも総合すると、「ファシリテーター」という一定のスキルを備えたニュートラルな存在というより、「ファシリティブ・リーダー」というリーダーの形・あり方を示すことが趣旨だったのではないかと思わされる。
一定の組織目標達成のために、会議という手段を有効に用いる方法論と考えると非常にしっくり来るし、活用の場面も多そうだと思った。(「会議=時間の無駄、儀式」という考えを持つ人も多かろう。普通の人は、有意義な会議の何十倍も無駄な会議に出席している。)
会議を通じて、メンバーに内発的な動機付けを行う方法論でもあるし、会議の中で、合理的な議論を行う方法論でもある。
あと、重要なのが、会議での議論のために十分な時間を確保するということの重要さも感じた。アジェンダの多寡に関係なく毎週1時間アサインされている週次会議なんかは結構無駄の温床だったりもする。議題がない時は、誰かのダラダラした話が続き、小さいが重要な決定をするための議論には短かったりする。
ともあれ、読後感も良く、
一度、ファシリテーションについて学びたいと思わされた。
あと、2004年の本だというから驚いた。グループウェアの発達した現代なら、どういう応用があるのか、知りたい気もする。
とりあえず、この本を買ってみた。
ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ
- 作者: グロービス,吉田素文
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2014/10/31
- メディア: 単行本
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普段はkindle派だけど、こういうテキスト系は紙で買っちゃうんだよなあ。
ファシリテーションの教科書―組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ
- 作者: グロービス,吉田素文
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2014/11/07
- メディア: Kindle版
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