異類婚姻譚/本谷有希子(2016)
のっけから掴まれてしまった。
夫婦で顔が似てくるというのは、よく用いられる比喩だが、本当に似てきてしまうとしたら少し寓話的で、ちょっとしたホラーでもある。
同調していくことは心地がいいが、同化するのはなんとなく怖い。
気持ち悪いと思っているのか、そうなっていいのか疑問に思っているのか、あきらめているのか。主人公の心がうつろうと同時に、物語の現実感もうつろう。
読者は、ファンタジーなのか、主人公の認知の歪みなのか、判別がつかない。
回収されない伏線というのも、最近多用されている気がしてやや食傷気味なのだが、本作品でも非常に効果的であった。
面白かったー!